高齢になればいろいろな機能が低下するが、目ももちろん老化する。代表的なのが白内障だ。50代では半数近く、80代以上ではほぼ100%の人が罹患しているという。
白内障は発症すると、完治はしない。少しでも発症や進行を遅らせるには、どんなことに気をつけるとよいだろう。眼科専門医で、高齢者の症状にも詳しい平松類さんはこう言う。
「白内障は、目、体の老化やダメージに伴って進みます。原因になるのはまず紫外線。日焼けの肌ダメージからもわかるように、紫外線による目へのダメージも甚大で、右側に陽を浴びる車のドライバーは右目の白内障を発症しやすいという話もあるほど。屋外では季節を問わず、サングラスの使用がおすすめです。
また普段、何気なくやってしまいますが、目をこするのも意外に大きなダメージです。眼球はとても繊細でやわらかく、少しの刺激や圧迫が白内障を助長するので、かゆい時は冷水タオルなどを当てて冷やすとよいでしょう」
このほかにも、ステロイド剤の使用や糖尿病、アトピー性皮膚炎、目のけがなども要因。当てはまれば、白内障のリスクも心得ておきたい。
◆唯一の治療法は手術。100才でもできる
眼科で行われる白内障の治療法は、点眼薬と手術だ。
「点眼薬は進行を遅らせるだけで、改善はできません。多くの人は症状が進行し、生活に支障が出てきてから受診されますが、できるだけ早い段階で白内障を確定し、治療を始めれば、点眼薬で進行を緩やかにできます。それでも進行した場合は、ダメになった水晶体の代わりに人工のレンズを入れる手術を行うことになります」