9月4日に東京ドームで行われたジャニー喜多川さん(享年87)の「お別れの会」。「日本一有名な芸能事務所の社長」となり、何人もの男性アイドルを送り出し、日本のエンターテインメント牽引してきたジャニーさん。
そんなジャニーさんが最後まで信念として持ち続けていたのが、「平和でなければエンターテインメントは成立しない」という言葉だ。晩年、ジャニーさんが手掛けた舞台には、特に「平和」を意識した展開や表現が色濃く反映されていた。ジャニーさんをよく知る放送作家の山田美保子さんが話す。
「ジャニーさんのミュージカル『少年たち』を見続けていますが、近年、『反戦』や『平和』を打ち出した演出が目立つようになりました。所属タレントだけでなく、“世界中の子供たちが大人になっても平和が続くように”との願いが込められているように感じます」
映画演劇評論家の萩尾瞳さんも続ける。
「2017年から始まった、ジャニーさんが手がけたミュージカル『ジャニーズYOU&MEアイランド』では、主人公が『人を殺して何が生まれる!』と絶叫する場面や空襲シーンなどが数多く登場します。これまであまり語られてこなかった戦争体験が、前面に表現されるようになりました。人生を総括する時期になり、平和の尊さを次世代に伝えようとしたのでしょう」
ジャニーさんが長年の「最終目標」としていたのが全米進出だ。嵐のデビュー会見の場所がハワイだったのも、全米進出を強く意識したからだろう。
「祖国であり、自分を育ててくれたアメリカへの進出は、ジャニーさんの長年の夢でした。東京五輪の2020年にはアメリカに事務所を構え、全米に通用するジャニーズミュージカルを公演する予定でした。残念ながらこの計画は叶いませんでしたが、この先、ジャニーさんの志を継ぐ者が実現するはずです」(芸能関係者)
決して平坦ではなかったジャニーさんの人生。蜷川幸雄とのラジオのなかで、ジャニーさんはこれまでの歩みをこう振り返った。
「一日だってつらいって思ったことはないと思う。楽しみに変えていくから」
この精神でやってきたからこそ、多くのことを成し遂げられた。ジャニーさんが残した多くの「遺言」は、所属タレントだけでなく、私たちの心にも残り続けるだろう。
※女性セブン2019年9月19日号