韓国・釜山から50キロと近く、年間40万人もの韓国人観光客が訪れていた長崎県の対馬で閑古鳥が鳴いている。彼の国で続く「NO JAPAN運動」の波をもろに受け、対馬から韓国人客の姿が激減したという。同地を何度も訪れたことのある歴史作家の島崎晋氏は「今こそ日本人が対馬の魅力を再発見するとき」と訴える。
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日韓政府関係の悪化で、九州を中心とした観光業界が悲鳴を上げている。なかでも苦境に立たされているのは「国境の島」とも呼ばれる対馬だ。島を訪れる観光客のほとんどが韓国人によって占められるなか、8月の韓国からの来訪者数は前年比で8割減というから、それこそ死活問題である。
その穴を日本人観光客が埋めてくれればよいのだが、交通の便の悪さと地元のPR不足もあって、なかなか思うようにいっていない。
対馬へのアクセスは福岡と長崎から飛行機か船を利用するしかなく、現地での交通手段もレンタカーかタクシーに限られる。路線バスもあるが、本数が少ないうえ、観光に適したルートを走ってはいないため、ほとんど役には立たない。島への限られた交通手段も冬場には強風で欠航になることが多いなど、国内観光客を呼び込む上で悪条件がいくつも重なっている。
だが、実際に訪れてみれば一目瞭然なように、対馬は対馬にしかない魅力で溢れている。
遊びの点ではシーカヤックや乗馬、海釣り、トレッキングなどに適した場所が多い。動物好きであれば、ツシマヤマネコをはじめ、対州馬、ツシマテン、ツシマジカなど、対馬にしか生息しない生き物に興味を引かれるに違いない。さすがに自然な状態の野生種を見る機会に恵まれることは滅多にないが、島の北西端に位置する対馬野生生物保護センターに行けば、それらを漏れなく目にすることができる。
パワースポットやスピリチュアルに関心のある人であれば、古神道を今に伝える神社や、つい最近まで禁足の地であった「オソロシドコロ」は必見だ。
古神道では霊山そのものを磐座(いわくら=神の降臨する場)とする。拝殿や本殿はなく、あるのは鳥居と遥拝所だけだ。そのような神社が対馬には何か所もあるが、筆者が特にお薦めしたいのは美津島町にある白嶽神社と上県町にある天神多久頭魂神社(てんじんたくづだまじんじゃ)だ。
白嶽神社では鳥居の下に立ち、標高519メートルの霊峰「白嶽」をバックに撮影すればインスタ映えすること間違いなし。天神多久頭魂神社も山をご神体とするため社殿がなく、石積みで結界を示すという古い形態が保たれており、近くにたたずむだけで自然と厳かに気持ちになれる。