国内

「韓国人観光客激減」で窮地の対馬 日本人こそ知るべき魅力

白村江の戦い後に築かれた山城「金田城」からの景色(筆者撮影)

 韓国・釜山から50キロと近く、年間40万人もの韓国人観光客が訪れていた長崎県の対馬で閑古鳥が鳴いている。彼の国で続く「NO JAPAN運動」の波をもろに受け、対馬から韓国人客の姿が激減したという。同地を何度も訪れたことのある歴史作家の島崎晋氏は「今こそ日本人が対馬の魅力を再発見するとき」と訴える。

 * * *
 日韓政府関係の悪化で、九州を中心とした観光業界が悲鳴を上げている。なかでも苦境に立たされているのは「国境の島」とも呼ばれる対馬だ。島を訪れる観光客のほとんどが韓国人によって占められるなか、8月の韓国からの来訪者数は前年比で8割減というから、それこそ死活問題である。

 その穴を日本人観光客が埋めてくれればよいのだが、交通の便の悪さと地元のPR不足もあって、なかなか思うようにいっていない。

 対馬へのアクセスは福岡と長崎から飛行機か船を利用するしかなく、現地での交通手段もレンタカーかタクシーに限られる。路線バスもあるが、本数が少ないうえ、観光に適したルートを走ってはいないため、ほとんど役には立たない。島への限られた交通手段も冬場には強風で欠航になることが多いなど、国内観光客を呼び込む上で悪条件がいくつも重なっている。

 だが、実際に訪れてみれば一目瞭然なように、対馬は対馬にしかない魅力で溢れている。

 遊びの点ではシーカヤックや乗馬、海釣り、トレッキングなどに適した場所が多い。動物好きであれば、ツシマヤマネコをはじめ、対州馬、ツシマテン、ツシマジカなど、対馬にしか生息しない生き物に興味を引かれるに違いない。さすがに自然な状態の野生種を見る機会に恵まれることは滅多にないが、島の北西端に位置する対馬野生生物保護センターに行けば、それらを漏れなく目にすることができる。

 パワースポットやスピリチュアルに関心のある人であれば、古神道を今に伝える神社や、つい最近まで禁足の地であった「オソロシドコロ」は必見だ。

 古神道では霊山そのものを磐座(いわくら=神の降臨する場)とする。拝殿や本殿はなく、あるのは鳥居と遥拝所だけだ。そのような神社が対馬には何か所もあるが、筆者が特にお薦めしたいのは美津島町にある白嶽神社と上県町にある天神多久頭魂神社(てんじんたくづだまじんじゃ)だ。

 白嶽神社では鳥居の下に立ち、標高519メートルの霊峰「白嶽」をバックに撮影すればインスタ映えすること間違いなし。天神多久頭魂神社も山をご神体とするため社殿がなく、石積みで結界を示すという古い形態が保たれており、近くにたたずむだけで自然と厳かに気持ちになれる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える\"心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン