いよいよ開幕したラグビーW杯。日本開催とあって盛り上がりを見せるが、こんな疑問を持つ人も少なくないだろう。日本代表なのに、なんでたくさんの外国人選手がいるのか──。新刊『国境を越えたスクラム ラグビー日本代表になった外国人選手たち』でそのルーツを追ったノンフィクションライターの山川徹氏は、“それこそが日本代表の魅力”だと説く。
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ラグビー日本代表は、日本人と海外出身の選手が互いに尊重し合って、勝利を目指してきた歴史を持つ。
1987年に開催された第1回W杯では、トンガ人のノフォムリ・タウモエフォラウとシナリ・ラトゥ(現ラトゥ志南利)が日本代表としてプレーした。
戦後、日本代表となった海外出身選手の第1号がノフォムリである。1980年にソロバンを学ぶために来日し、大東文化大学でプレーした彼は日本代表のユニフォームである“桜のジャージ”に袖を通したとき「大きな責任を感じた」と語る。
「トンガ人がトンガ代表になるのは普通ですが、トンガ人が日本代表になるのは特別なこと。選んでくれた人のためにも、日本代表を目指す日本人選手のためにも、いい加減なプレーは絶対にできないと思った」
ノフォムリやラトゥはその言葉に違わぬ気持ちのこもった激しいプレーをくり返し、日本代表の危機を幾度も救い、勝利に貢献した。ファンはそんな海外出身選手の思いに共感し、親しみを覚えたのである。
また現役引退後、日本企業でサラリーマンとして働く2人の姿が、ただの“助っ人ガイジン”ではなく、同じ社会に生きる仲間だという思いを抱かせた。