「在庫一掃内閣か」とも揶揄される第四次安倍再改造内閣で、最も不安視されているのが、78歳にして初入閣した竹本直一・IT担当相。「はんこ議連」のメンバーということもあってか、デジタルとはんこの共栄を目指すと発言したり、就任早々、自身の公式サイトが閲覧できないトラブルで釈明に追われたりするなど、「USBを知らなかった桜田義孝元五輪相の二の舞か、と官邸は気を揉んでいる」(官邸担当記者)という。
竹本氏は建設省(現・国交省)出身で当選8回。大阪・富田林などを地盤とする選挙区(大阪15区)では、46歳の維新の浦野靖人氏(近畿比例)と接戦を繰り広げており、「SNSを活用する浦野氏を意識してかネットでの自己PRに熱心です。最近も小泉純一郎元首相や元横綱・朝青龍との写真を公開していた」(地元関係者)という。
だが竹本流ネット活用術が思わぬ騒動を引き起こしてもいる。自身の公式YouTubeアカウントで、政府が対策に取り組む違法アップロード(海賊版)の動画に「高評価ボタン」を押していたことが発覚し、ネット上を中心に問題視されているのだ。
動画は京都アニメーションが制作し、2016年に放送されたテレビアニメ『無彩限のファントム・ワールド』で、女子高生のキャラクターが胸を揺らしてリンボーダンスに挑む一場面だ。ITジャーナリストの新田ヒカル氏が解説する。
「動画の説明文には京都アニメーションや放送局の許諾を受けている記載がないため、著作権を侵害する違法なものでしょう。それを視聴し、〈高評価ボタン〉を押したことで、違法アップロード行為を肯定したと捉えられても仕方ない」
竹本氏の事務所に聞くと、「代議士は動画を見ておらず、〈高評価〉も押していない」と弁明した。では誰が押したのか。
「現在、事務所内で該当者を探していまして……」
ずいぶんITに疎い部下がいるようである。国民から“低評価ボタン”を押されても仕方あるまい。
※週刊ポスト2019年10月4日号