スポーツ

ラグビー日本代表名選手列伝 試合中に体重7キロ減った男も

試合中に体重が7キロ減ったことのある大野均・元日本代表(右端。2015年イングランド大会より)(時事通信フォト)

 明治32(1899)年にラグビーが伝来してから120年、悲願であった自国開催のワールドカップに臨むラグビーの日本代表チーム。楕円球を愛する者が敬意をこめて“ジャパン”と呼ぶチームの礎を築いたのは、先人たちの「魂」だった。

 ラグビー日本代表が初めて海を渡ったのは昭和5(1930)年のカナダ遠征だった。大成功を収めたこの遠征以降、戦争を挟んで代表チームの低迷期が続く。

 ラグビーエッセイ集『人類のためだ。』(鉄筆)の著者でスポーツライターの藤島大氏が「ジャパンを創造した男」として挙げるのは、1966年から1971年まで代表監督を務めた大西鐡之祐氏(故人)だ。

「戦前に産声をあげたジャパンを真のナショナルチームにしたのは大西さんでした。大西さんはジャパンを愛し、徹底した“知と熱”で日本代表を鍛え上げたのです」(藤島氏)

 1967年3月12日、代表監督としての初めての国際試合であるニュージーランド大学選抜戦の際、大西氏は高ぶる気持ちを抑えられず、手元のメモに「気持ちとしては自分の妻、自分の恋人が掠奪された時、身を捨ててかかる、その覚悟」と走り書きしたという。

 また試合前にニュージーランド大学選抜が相手を威嚇する民族舞踊「ハカ」を披露すると、ジャパンの選手は一斉に「エイエイオー! エイエイオー!」と雄叫びをあげた。ハカの勢いに負けぬよう、大西監督が真剣に発案したパフォーマンスだった。

「こうした“熱”の一方で、大西さんはブリティッシュ・カウンシル(イギリスの国際交流機関。日本では東京・新宿区に拠点がある)で現地の新聞を読み込んで相手チームの動向を探り、入念かつ緻密に戦略を練りました。また出身大学に依拠しないフェアなセレクションを行い、単に上手な選手よりも各ポジションで自分の仕事を死ぬ気で行う選手を選んで研ぎ澄ました作戦を遂行させました」(藤島氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン