国内

ベビーカーおろすんジャー他「リアルライフヒーロー」の奮闘

ベビーカーや荷物を運ぶため、東京メトロ・丸ノ内線方南町北口付近に週2~3回現れる緑のヒーロー。山口県出身の33才

 午前10時。東京メトロ丸ノ内線方南町駅(東京都杉並区)の改札を出て、北口の階段を上がると、「こんにちは」「行ってらっしゃい」と言う明るい声が聞こえてきた。その声の先には緑色のヒーローが。

 彼こそが、巷で話題のベビーカーおろすんジャー(以下、おろすんジャー)、その人だ。

 必殺技はその名の通り、ベビーカーを改札階へ運ぶこと。

「ぼくはふだん、青果店で働いているのですが、以前、そこに来た子供連れのお客さんが『今から新宿に行くので、隣の中野富士見町駅まで歩きます』と言うので、理由を尋ねると、『方南町駅にはエレベーターもエスカレーターもないから』と言うんです。それなら、ぼくがお手伝いしようと駅に立ち始めたのがきっかけです」(おろすんジャー・以下同)

10時 駅の利用者に挨拶

 以来、活動歴は8年目になるが、その時から緑のヒーロースーツを着用している。

「ぼくは町の人たちと触れ合いたくて2007年から町の清掃をしていたのですが、人見知りで、素顔だと声をかけづらく、声をかけて相手に驚かれるのも怖かった。そこで、顔を隠したら恥ずかしくなくなり、みんなに受け入れてもらえるんじゃないかと思って、ヒーロースーツを着てみたら、別人みたいに人と話せるようになったんです」

 最初は奇異な目で見られることもあったが、ベビーカーおろしを手伝ううちに、挨拶する人も増えていった。

「緑のスーツにしたのは、かつて放送されていた、戦隊もののテレビ番組『ゴレンジャー』などにより、赤はリーダー、青はイケメン、黄色は食いしん坊というイメージがあり、どれも違うなと思ったからです。ぼくがこのスーツを着て活動していたら、声をかけたくても『断られたらどうしよう』などと思って躊躇していた人たちも、声をかけ始めたんです。それはうれしいですね」

 大人も子供も関係なく「行ってらっしゃいませ」と声をかけ、利用者を見送る。特に子供には積極的に声をかけ、今や顔なじみも増えたという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン