アメリカで興味深い研究結果が出された。「健康的な食事内容が人を幸せにする」──アメリカの消費者情報誌『コンシューマー・リポート』に掲載されたものだ。
同報告書には、うつ状態の人は腸内の善玉菌・悪玉菌のバランスが悪いことや、食物繊維の豊富な野菜を摂っている成人はうつ症状を起こしにくいこと、反対にソフトドリンクやインスタント食品など「超加工食品」を頻繁に摂っている人はそうでない人に比べ、33%うつ病リスクが高まることなど最新研究がデータとともに掲載されている。
「何を食べるかは、体の健康だけでなく心の状態にも影響を及ぼす」、この結果に改めて食事の重要性が再考されている。
本誌・女性セブンでは、これまで8回にわたってテーマ別に専門家に取材し、作成してきた「最強食品ランキング」のポイントを再集計。
「自然治癒力」「血管力」「胃腸力」「疲労回復力」「肌力」「更年期障害」「内臓脂肪」「アンチエイジング」…これらすべてを体現する「最強食品“最強”ランキング」を作成した。
【食べるべき最強食品ランキング】
第1位 納豆
第2位 ヨーグルト
第3位 いわし
第4位 豚肉
第5位 にんにく
第6位 キャベツ
第7位 トマト
第8位 さば
第9位 卵
第9位 鶏肉
◆キーワードは1975年
改めてランキング全体を見渡すと、魚類に加えて、納豆、玄米、みそ、わかめなど、和食の食材が多くランクインしている。その一方で「チアシード」や「ココナッツオイル」といったいわゆる“スーパーフード”と呼ばれる食品は軒並みランク外となった。
工藤内科副院長の工藤孝文さんはこう言う。
「日本人は先祖代々、ずっと和食を食べてきたため、やはりわれわれの体質に合っているといえる。実際、東北大学が行った研究によれば、日本人が1975年頃に食べていた食事内容は、肥満の解消、悪玉コレステロールや血糖値の低下、ストレスの軽減、運動機能の向上などの効果が得られることが確認できたそうです。その“1975年食”のリストには、納豆やみそなど、ランクインした食材が多数挙げられています」
ただし、和食には気をつけなければいけない点もある。秋葉原駅クリニック医師の佐々木欧さんはこう続ける。
「みそやしょうゆなど、調味料の塩分が濃いので高血圧のリスクが高まります。魚を食べる時には、干物や煮魚など塩分過多になりがちなので薄味での調理を心がけて食卓に取り入れていきましょう」
つまり、「最強食品」を生かすも殺すもレシピ次第ということ。それでは、「食の専門家」である管理栄養士はこれらの食材をどう食べているのか。
管理栄養士の中沢るみさんは効果的かつ簡単な食べ方として玄米を使った「ネバネバ丼」を挙げる。
「納豆、山いも、オクラ、芽かぶといった、ネバネバ食材を、丼に盛った発酵玄米にのせ、最後に温泉卵をのせるだけ。水溶性食物繊維がたっぷりなので、腸の大掃除をして腸内の調子をよくしてくれるし、納豆菌で腸内の善玉菌が増える。腸がきれいだと肌もきれいになるし、免疫力があがり、メンタルもよくなります」
管理栄養士の磯村優貴恵さんのおすすめは、トマト煮込みだ。
「トマトは、牛・豚・鶏、どんな肉とも相性がよく、いわし缶やさば缶を入れてもOK。魚や肉のたんぱく質とトマトの栄養を一緒に摂ることができます。きのこ類やいも類を加えてもいいですね。
鶏肉のトマト煮込みを例に取ると、まずはオリーブオイルをひいて、にんにく・しょうがを炒め、香りが出てきたら鶏肉を入れて炒めます。さらに玉ねぎ、にんじんなどの野菜を入れて炒め、生のトマトかトマトの水煮缶を入れる。味つけとしてコンソメか鶏ガラスープのもとを1粒か小さじ1を入れ、後はふたをして20分ほどコトコト煮るだけです」
ランクインしている大豆製品を摂るために、最後に蒸し大豆を“ちょい足し”する方法もあるという。また、いつものみそ汁に食材を加えることで、簡単に最強レシピを作る方法もある。
「みそ汁は万能です。ランキングにある豆腐とわかめをはじめ、どんな具材を何種類入れてもいい。1杯でいろいろな栄養素が摂れるうえ、汁ごと全部食べられるので、水に溶け出した栄養素もすべて摂取することができる。キャベツやトマト、ブロッコリーなどもおすすめです。卵を落としてもおいしくいただけます」(磯村さん)
最強食品を使った最強料理で、食欲の秋を「健康の秋」にしよう。
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号