「損しない生活」を送るためには、「本当は払わなくて済むお金」を見定めた上で、「受け取れるお金」をきちんともらう手続きを欠かさないようにする必要がある。
だが、公共機関に提出する「書類」にほんの少しのミスがあったり、手続きを忘れたりしてしまうと、10万、100万単位でお金を失ってしまうケースがある。
税理士の山本宏氏が挙げる書類は、相続放棄申述書だ。
「相続はプラスの遺産ばかりではありません。故人に借金などが多い場合、相続開始を知ってから3か月以内に相続放棄申述書を提出して、負の相続を防ぐことが得策です。負債額が分からない場合は『不明』と記せばいいので、大きな負の遺産が発覚した場合は期限内に放棄の手続きをすることが大切です。
手続きは遺言書や財産目録をもとに、遺産分割協議を進めますが、それらがない場合にはかなり時間がかかる。もし3か月に間に合わなかったとしても『忙しかった』『法律を知らなかった』という理由は原則として認められません」(山本氏)
相続手続きを進める場合に見落としがちなのは、準確定申告書だ。
「故人の確定申告のことで、死後4か月以内に行なわないと税額の15%もの無申告加算税が発生することがあります。特に土地建物を売ったり生命保険を解約するなど、所得が多い年に亡くなったケースは要注意です。
無申告加算税は遅延日数にかかわらず、納付しなければならない所得税の15%かかるので、忘れず早めに申告してほしい」(山本氏)
相続税の申告書は土地評価がポイントとなる。
「税務署の職員に教えてもらった評価額を鵜呑みにするのではなく、専門の税理士に依頼するのが安心です。土地の形状が歪であるなど、評価が下がる要素を見落とさないことが重要です」(山本氏)
※週刊ポスト2019年10月4日号