いよいよ秋のGIシリーズが開幕する。幸先よくスタートダッシュを決めたいものだ。競馬歴40年のライター・東田和美氏がスプリンターズSの狙い目について考察する。
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スプリンターズSが4回中山最終日に行われるようになったのは2000年から。3歳馬の出走は19年間で26頭しかおらず、成績は〈1 1 2 22〉、勝ったのは2007年のアストンマーチャンだけだ。1400mまでの重賞3勝で迎えた桜花賞で2番人気7着に敗れた後、スプリント路線に切り替え、夏の北九州記念(6着)を経ての参戦だった。
昨年11番人気で2着に入ったのがラブカンプー。フィーリーズレビュー、アーリントンCに敗れた後スプリント路線に向かい、葵Sの2着で手ごたえをつかみ、アイビスSD2着、北九州記念3着、セントウルS2着と好戦してのぞんだ(なぜこんなに人気がなかったのだろう)。
2016年の3着馬ソルヴェイグも牝馬。桜花賞17着の後、スプリント路線に向かい、函館SS(1着)キーンランドC4着から挑戦。いずれもクラシック戦線に乗りかけながら跳ね返され、距離を短縮して臨んでいる。
今年の3歳馬もノーワンは桜花賞で11着、NHKマイルCでも長かったかというのがイベリス、ハッピーアワー、ファンタジストの3頭。いずれも距離を短縮しての挑戦となる。
そんな中、ディアンドルはデビュー2戦目の未勝利戦から重賞の葵Sまで1200m戦を5連勝。古馬との初対決となった前走北九州記念でも2着。2歳時に3勝しながら、クラシック路線には目もくれず、スプリント路線を突っ走ってきた。
ルーラーシップ産駒といえば、キセキやリオンリオン、オークス2着のリリーノーブルなど、自身がそうだったように中長距離で活躍するイメージがある(ただしセイウンコウセイやファインニードル、ハクサンムーンの父はJCと宝塚記念のアドマイヤムーンだ)。3世代目の今年の3歳が秋GⅠのトライアルでも結果を出し、サイヤーランキングでも5位につけている。なにしろ母はエアグルーヴ。ガーサント、ノーザンテースト、トニービンと、社台Gの歴史を辿るような血を受け継いでおり、サンデー系牝馬との配合で生まれる産駒は、キングカメハメハのように多彩な産駒を送り出すのだろう。
ディアンドルは2歳春に入厩したものの、左前の骨瘤の状態を気にしていたため、短い距離での使い出しになったが、いまではまったく気にならなくなった。GⅠ初挑戦なのがどうかと言われているが、そもそも3歳馬が初めて出られる1200mのGⅠがこのレース。持ちタイムがないことが懸念されているが、追い切りでは「目一杯追えばどれだけ動いていたのかと考えると本当に怖いぐらい」(シルク・ホースクラブHP)とのことで、伸びしろは十分。牝馬らしからぬ馬格、53キロも魅力だ。