家族が遺産争いをしないよう、自筆の遺言書を残そうと考える人は多い。だが、その書き方を間違えると、すべてが水泡に帰して争続が発生してしまう可能性がある。
税理士の山本宏氏が遺言書の失敗しない書き方をアドバイスする。
「財産目録以外は自筆で書き、日付、署名、押印を忘れないこと。押印は認印でも拇印でも構いませんが、一つでも欠けると遺言書として認められません。預貯金の詳細や負の遺産についても隠さず明記することが家族のためになります」(山本氏)
財産目録以外はパソコン作成不可で、全文自筆でなければならない。書き方のポイントは以下の3点だ。
【1】誰に何を相続するか具体的に書く。土地であれば地番や地目、株式であれば銘柄、株数、証券口座などの情報も記入する
【2】「負の財産」の分配についても明記する
【3】付言事項として家族への思いを書く。「『なぜそう配分したか』を記入することで、残された家族の紛争防止に効果的です」(山本氏)
自筆遺言書は、来夏からさらに使い勝手がよくなる。
「自筆の遺言は紛失や改竄のトラブルが多かったが、来年7月から法務局で保管してもらえるようになり、内容も専門官がチェックします。相続人立ち会いのもと家裁で開封する『検認』も必要なくなります」(山本氏)
※週刊ポスト2019年10月4日号