ビジネス

「ジーンズ離れ」はなぜ起きたのか ブーム変遷で見えた要因

カジュアルファッションの定番中の定番であるジーンズだが…

カジュアルファッションの定番中の定番であるジーンズだが…

 老若男女問わず、カジュアルファッションの定番中の定番である「ジーンズ」の売り上げ不振が叫ばれている。大手ジーンズ量販店の中には、看板商品のジーンズを置かない店舗まで登場しているというが、なぜここまで“ジーンズ離れ”が起きているのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏が、その要因を探った。

 * * *
 今年8月8日に東京商工リサーチが発表したジーンズカジュアルチェーン店大手3社(マックハウス、ライトオン、ジーンズメイト)の店舗動向調査と商況推移のまとめがアパレル業界内でも話題になりました。

 同調査によると、3社が展開する「Mac-House」、「Right-on」、「JEANS MATE」ともに店舗数や売上高が減少していることが分かりました(以下)。

【Mac-House】
・店舗数/567店(2009年2月期)→398店(2019年2月期)
・売上高/566億5000万円(2009年2月期)→280億900万円(2019年2月期)

【Right-on】
・店舗数/516店(2015年8月期)→492店(2019年8月期第2四半期時点)
・売上高/1006億600万円(2009年8月期)→767億9800万円(2018年8月期)

【JEANS MATE】
・店舗数/117店(2012年2月期)→76店(2019年3月期)
・売上高/115億3300万円(2012年2月期)→85億7900万円(2019年3月期)

 こうした苦境を乗り越える策として、例えばJEANS MATEの新業態店では、ジーンズの在庫を減らし、都内の店舗ではジーンズを1本も置いていない時期もあった──と東京商工リサーチがレポートしています。

「エドウイン」や「リーバイス」などナショナルブランドのジーンズを主体とするカジュアルチェーン店は、2005年頃までは一大市場でしたし、バブル期に大学時代を過ごした筆者世代には、カジュアルズボンといえばジーンズでした。周囲の服装を振り返ってみても、男子大学生のほとんどがジーンズを履いていたことを記憶しています。チノパンはごくわずか、モードなカジュアルスラックスなんて履いているのは超少数派のファッション達人だけでした。

 誰もがジーンズを履く時代を反映してか、2000年頃までは前出の大手3社に限らず、地域密着のローカルチェーン店が各地にあり、国道や幹線道路沿いに多くのチェーン店が建ち並んでいました。

 ところが、2000年代後半になると、低価格でプライベートブランドのジーンズを販売するユニクロやしまむらの台頭、ジーンズの製造ノウハウの拡散などによってジーンズカジュアルチェーン店はバタバタと倒産・廃業していきます。フロムUSA、ロードランナー、アイビー商事、ジーンズハウス306など。そして、残った大手がこの3社となったわけです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン