プロ野球シーズン開幕前の『週刊ポスト』3月15日号では、1994年セ・リーグ新人王だった元阪神の藪恵壹(51)氏に今年の新人王予想を依頼していた。そのときの藪氏の予想は、セ・リーグは村上宗隆(ヤクルト)、パ・リーグは松本航(西武)と安田尚憲(ロッテ)だった。シーズン終盤の今、自らの予想を藪氏が検証する。
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ヤクルトの村上宗隆内野手のすごさは、まずスイングの速さと力強さ、それに変化球を打つのが上手い、そして、どの球場でも広角に打てるところです。甲子園でレフト方向にホームランを打ったんですけど、あの甲子園で逆方向に打つなんてなかなか見られない。それもまるで右打者がホームランを打ったような当たりですから。
昨年11月のアジアウインターリーグのテレビ解説をしていて、19試合で4本塁打していたのを見ていたので、これは近い将来きっと出てくるだろうなと思ったんですけど、こんなに早く爆発するとは驚きです。
一方で阪神の近本光司選手が、長嶋茂雄さんの新人安打記録を抜いたというインパクトもありますし、盗塁王でも獲ったものなら票が割れてくるんじゃないですか。どちらにしてもタイプの違う2人によるハイレベルの戦いであるのは間違いないです。
パ・リーグは西武の松本航投手が春先に出遅れたのが痛かったです。チーム打率が12球団一なので、登板回数をもっと貰えていたら勝ち星も増えていたと思います。ロッテの安田尚憲もいいものを持っているんですけど、井口(資仁)監督曰く、まだまだバッティングにしても守備にしても時間が掛かると言ってますし、今シーズンはより実戦を積ませるためにファームに置いていたはずなので、来シーズン以降が楽しみではありますね。
●取材・文/松永多佳倫
※週刊ポスト2019年10月11日号