消費増税による消費の落ち込みを防ぐため、政府は2019年10月から2020年6月までポイント還元制度を実施する。中小の小売店や飲食店で、商品を現金を使わずに買うと、購入額の原則5%分のポイントがもらえる仕組みだ。クレジットカードやスマホで決済すれば、ポイント分が得になる。これを機にクレジットカードを作ろうという人もいるだろう。
関西大学名誉教授で経済学者の宮本勝浩氏(74)は、「経済学者の立場からすれば、キャッシュレス化は歓迎しなければいけないのですが」と前置きした上で、「個人的にはカードが増えるのはストレスが溜まる」と漏らす。
「問題は、店によってポイントカードが違うこと。コンビニだけでも4種類も5種類もあるし、本屋やドラッグストア、スーパー、ファミレスなど、よく使う店の数だけカードがある。これに銀行のキャッシュカードやクレジットカードが加わるので、財布はパンパンです」
いざ買い物をした時に、目的のカードを探すのもひと苦労だ。
「レジで慌てて出そうとするから余計に時間がかかってしまい、後ろに並んでいるお客さんの冷たい視線を感じます。カードを業界ごとに統一してくれたら、どれだけ便利なことか。1枚のカードでポイントも早く貯まるし、使い応えがある。せめてコンビニだけでも共通のカードにしてもらえたら助かるんですが……。
私は一度クレジットカードを盗まれた経験もあるので、100%キャッシュレスにするのにも少し抵抗があります。それに日本は現金に対する信頼性が染みついているので、高齢者にはなかなか浸透しないという実感はありますね」
※週刊ポスト2019年10月11日号