「最近、娘に言われてiPhoneに替えたら、ネットもLINEも1台でできるようになって、とっても便利になりました。だけど、本人認証が面倒臭くてたまらない」
そうぼやくのは、ジャーナリスト・鳥越俊太郎氏(79)。いまやスマホは年齢を問わず“必需品”になりつつあるが、最初にスマホを起動する時に始まり、手続きや支払いなど、何かをするたびに本人認証を求められることになる。
「僕はLINEのほか、アマゾンや楽天、アップルIDでの買い物などいろんなサービスを使ってるけど、それぞれにログインするたびに本人認証を求められるから、煩わしくて仕方がない。しかもみんな本人認証に必要な文字数や、アルファベットと数字の組み合わせ方も違う。何回か失敗してログインできなくなって、再設定する羽目になったことは何度もあります」
しかもスマホのキャッシュレス決済の拡大を目指す経済産業省は今年4月、決済事業者に対して、より精度の高い本人認証を求める指針を打ち出した。本人認証のハードルはますます高くなりそうだ。
「個人情報の流出や悪用を防ぐためだから仕方がないけれど、もうちょっと簡単にできないものか。やっぱり僕のスマホを僕が使っているのに『本人認証』ではじかれるって、おかしいでしょう。
僕の場合、娘婿がこういう分野に詳しいので、お手上げだと思ったら連絡して教えてもらっているけれど、自分ひとりではとても無理。頼りになる人が身近にいない高齢者は本当に苦労するでしょうね」
※週刊ポスト2019年10月11日号