元中日で、1998年セ・リーグ新人王となった川上憲伸氏(44)が、プロ野球シーズン開幕前の『週刊ポスト』3月15日号で予想した2019年新人王はセ・リーグが根尾昂(中日)、パ・リーグは甲斐野央(ソフトバンク)だった。シーズンの終わりが見えたいま、新人ながら65試合登板した甲斐野を素晴らしいと賞賛する一方、中日球団が即戦力として英才教育すると考えていた根尾には色々と思うところがあるようだ。
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中日OBとして根尾君に期待していましたが、完全に外しました。怪我で出遅れたといえども、終盤まで一軍からのお呼びがかからなかったのは意外でしたね。僕のイメージだと、二軍で2、3年かけてゆっくり育てるというより、高卒ながらも即戦力として調子の良い悪い関係なく一軍に帯同させ、試合に出しながら英才教育していくのだと勝手に思い描いていました。
ショートというポジションも色々と言われていますけど、ショートは野手のポジショニングやピッチャーの配球まで見られるし、視野が広がって野球観が養えますので、そのままやってほしいですね。来年もファームでゆっくりという選手じゃないので期待したいと思います。
パ・リーグはソフトバンクの甲斐野央投手を推していました。登板数65試合は素晴らしい数字です。登板数が40試合以下だと、その選手に合わせたのかなと感じるのですが、60試合以上ですから彼の力がチームに必要だったのは間違いない。
セットアッパー、クローザー、そして時には早いイニングでのビハインドで投げるなど、チームが甲斐野投手に頼っていた証だと思います。きちんと貢献したなという印象です。同じチームの高橋礼投手が先発で12勝というインパクトを残しているので、新人王はちょっと厳しいかなという気がしますけど、どういう評価になるか楽しみですね。
※数字は9月25日終了時点
●取材・文/松永多佳倫
※週刊ポスト2019年10月11日号