目下、大規模再開発が真っ只中の東京・渋谷。その1つ、新築オフィスビル「渋谷ソラスタ」に去る9月2日、本社を移転したのがセルフ式うどん「丸亀製麺」を主力業態に持つトリドールホールディングスだ。
同社はもともと三宮駅前(神戸市)のビルに本社を置き、4年前の2015年9月、神戸本社はそのままに「東京本部」も設置、ゲートシティ大崎(品川区)にその本部を構えていた。
当時のトリドールHDの売上高(2015年3月期)は873億円と、1000億円の大台に満たなかったが、同社の粟田貴也社長はすでにその時点で、10年後の25年度に売上高5000億円、6000店舗という壮大な構想をぶち上げていた。
さらに翌2016年10月には純粋持ち株会社体制に移行、「丸亀製麺」以外の業態や海外展開も加速させ、大目標を単なる夢で終わらせない本気度を窺わせた。結果、前期(2019年3月期)は売上高で1450億円まで伸び、今期も1568億円と拡大を見込んでいる。
そして今回、前述の渋谷ソラスタへの移転を機に、東京本部からさらに「東京本社」へと格上げした。
同地はもともと、東急不動産HDが本社を置いていたビルで、再開発を機に再び同社やグループ会社も本社を置くことになったが、使用フロアは5階~11階と中層階。その上階に、電通傘下でネット広告関連事業を行うCARTA HOLDINGS(旧VOYAGE GROUP)というIT企業が入居している。
渋谷といえば、ミクシィやディー・エヌ・エー、GMOインターネットなどが本社を置く、いわばIT企業の総本山的エリア。そこに外食企業のトリドールHDが本社を移転し、しかも渋谷ソラスタのオフィスフロアでは最上階となる、19階~20階を占めている。大きな窓ガラスも相まって眺望は抜群だが、最上階だから当然、家賃もそれだけ高くなるはず。それでも移転を決断した粟田社長には、不退転の決意があったのだろう。