糖尿病や高血圧など、生活習慣病の治療のために薬を服用している高齢者は多い。ところが、これらの薬を服用し続けると、「がん」のリスクが増大する危険性がある。
2018年には、カナダの研究チームにより、血圧の上昇を抑える降圧剤のうち、「ACE阻害薬」を5年以上服用し続けると肺がんのリスクが高まることが報告された。そのリスクは服用期間が長くなるほど顕著に高まったという。
降圧剤だけではない。2016年には、糖尿病治療薬のうち、「ピオグリタゾン」の使用が膀胱がんのリスクを高めることがカナダの研究チームにより報告されている。ACE阻害薬同様、使用期間や量が増えるほど、膀胱がんのリスクが増すという。
さらに、2010年には加齢とともに骨が弱くなる骨粗鬆症の予防・治療に用いられる「経口ビスホスホネート製剤」に、食道がんのリスクを高める副作用があることも報告された。英オックスフォード大らの研究グループは、同薬の「10回以上の処方または5年以上の処方により食道がんリスクが増加する」と結論づけた。秋津医院院長の秋津壽男医師が語る。
「一番避けたいのは、薬の副作用を知って勝手に服用をやめてしまうこと。糖尿病薬の場合、悪化して失明するケースも考えられます。自分で判断する前に、まずは医師と相談してほしい」
※週刊ポスト2019年10月11日号