ネット通販大手のZOZOがヤフーに買収されることが発表され、それに伴い創業者の前澤友作氏が社長を退任した。注目されるのは、「なぜZOZOを売ったのか」「今後、前澤氏は何をするのか」だ。「600億の借金を返すために会社を売ったなんて思われたくない」と語る前澤氏が、プロインタビュアーの吉田豪氏の取材に答え、ZOZO売却の背景と「新会社」について語った。
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──多額の借金がある人が21年やった会社を手放して新しいことを始めるとなると、「借金を返すために売ったのか」と勘ぐられますよね。
前澤:まあね。ひと言でいうと今後のZOZO社の成長のために、このタイミングしかないというタイミングで資本業務提携をヤフーさんと結ぶことができたんです。僕が株をなんで売るかっていうと、ヤフーさんが株を欲しいからなんですよ。ヤフーさんから見ると、ZOZOを連結子会社化するっていうのが今回の提携の条件ですからね。
なんでヤフーさんが連結子会社化したいかっていうと、いろいろ業務提携していくなかで双方の資産を持ち寄っていろんなことをやるわけで。僕は会社の成長を考えたときに、自力でできないこともないかもしれないけれど、ZOZOはもっともっと社会を変えていく会社になるべきですから、このヤフーさんとの話っていうのは、ZOZOにとっては、ホントにベストタイミングだったし、ベストパートナーだったわけです。自分が21年大事に持ち続けてきた株だけど、ヤフーさんだったらお譲りして業務提携させていただいて、さらにZOZOが伸びていくためには、僕は泣く泣く売りますよ、という話で。
借金を返したいから売るんじゃないんですよ。いま僕が手放さないとこの話は成立しなかったのです。だから会社のために手放すしかない。まあ、手放した株が2000何百億円ってなるから、またひと儲けしやがってってなっちゃうんだけど。
──ダハハハハ! 「ここで売り抜けか!」って。
前澤:話が違うんですよ! 僕は金融商品の投資とかはやらないんです。一番儲かる投資は自社株だと思ってずっと自分で持ち続けてきて、ほかの会社の株とか一切買ったりしてないので。そういった意味で自分の株を売るっていうのはホントに苦渋の決断だったわけです。ぜんぜん借金とは関係ない話で。