国際情報

韓国の「放射能汚染日本地図」 名前使われた団体が怒りの声

来る東京五輪のボイコットを主張する韓国の市民(8月15日、Penta Press/時事通信フォト)

 韓国与党「共に民主党」の日本経済侵略対策特別委員会は9月26日、福島第1原発事故(2011年)による「放射能汚染地図」を公開した。

 韓国紙・朝鮮日報日本語版の記事「与党の日本特委、日本の放射能汚染地図公開…『五輪競技場も汚染地域に入る』」(2019年9月26日付)によると、この地図は〈原発事故以降の放射能汚染の程度を測定する日本の市民団体『みんなのデータサイト』で公開している資料を基に制作した地図〉で、汚染地域には東京五輪の競技会場である「宮城スタジアム」と「福島あづま球場」などが含まれていると報じている。

 この「放射能汚染地図」を作成した意図について、〈特別委の委員長を務めるチェ・ジェソン議員は「わが国民の生命と安全のために取ることができる措置の根拠を地図として作成した」〉としている(同前)。

 東京五輪に出場する選手や観戦に行く客は、放射能で健康被害を受ける可能性があることを示唆したいようだ。

 この地図は、東京五輪の主要な競技場がある場所の土壌の放射性物質量を示しており、福島あづま球場(野球)で1平方メートルあたり205万7800ベクレル、宮城スタジアム(野球)で同4万8000ベクレル、埼玉スタジアム(サッカー)で同20万3800ベクレル、カシマサッカースタジアム(サッカー)で同4万6900ベクレル、国立競技場(開会式)で同21万9480ベクレルという数値が並んでいる。

 セシウム134、同137がまだ日本の土壌中に残っているのは事実だが、一見して、数値が大きすぎるように見える。

 同記事によると、数値の出典は「みんなのデータサイト」だという。同サイトは、日本全国の市民がボランティアで居住地の土壌や食品の放射能を測定し、データを集計したサイトだ。そこで、みんなのデータサイトで公開されている各地の測定値と突き合わせてみた。

 韓国作成の「放射能汚染地図」では福島あづま球場のセシウム137濃度は1平方メートルあたり205万7800ベクレルと記されているが、みんなのデータサイトで福島あづま球場に近い測定ポイントの数値(「2019年(最近)」)を見ると、「福島市庄野」で同14万5200ベクレル、「荒井(空き地)」で同13万1400ベクレルとなっていて、桁が1桁違う。

 埼玉スタジアムは同20万3800ベクレルとなっているが、そもそも埼スタ周辺に測定ポイントは見当たらない。かなり離れているが、一番近い測定ポイントの「さいたま市岩槻区南下新井」で同200ベクレルで桁が3桁も異なる。国立競技場も同21万9480ベクレルとあるが、周辺に測定ポイントがなく、一番近い測定ポイントの「新宿区片町」で同1万9100ベクレルだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン