国際情報

韓国、歴代大統領の訴追や弾劾 背景に腐敗生まれやすい構造

韓国の朴槿恵前大統領(写真/EPA=時事)

 韓国の大統領(任期5年)は憲法上、米国の大統領より強大な権限を与えられている。行政府の長として日本の内閣に相当する「国務会議」を主宰し、国務総理(首相)や大臣(行政機関の長)を任命し、さらには宣戦布告する権限を持つだけではない。

 韓国憲法では〈大統領は、条約を締結し、批准し、外交使節を信任し、接受し、または派遣するとともに、宣戦布告及び講和を行う〉(73条。有信堂高文社刊『世界の憲法集』の尹龍澤・創価大学教授による訳文。以下引用は同書による)とされ、その権限は国軍を統帥(74条)し、非常事態が起きたときの命令権(76条)、戒厳の宣布(77条)から大法院長(最高裁長官に相当。任期6年)の任命権(104条)、憲法改正の発議権(128条)まで及ぶ。

 それほど強大な権限を持ち、憲法で〈在職中、刑事上の訴追を受けない〉(84条)という不訴追特権まである韓国の大統領だが、退任後はその多くが弾劾、逮捕、訴追を受けてきた。

 これも日本では分かりにくい韓国政治の謎だ。

 韓国の12人の歴代大統領のうち、1人は海外亡命(李承晩)、1人は暗殺(朴正煕)、1人は収賄容疑で捜査中に投身自殺(盧武鉉)、1人は弾劾で失職(朴槿恵)し、4人は訴追されて2人が懲役(全斗煥、盧泰愚)、残る2人(李明博、朴槿恵)は公判中だ。金泳三、金大中の2人の大統領も、本人は訴追されていないものの、どちらも息子が収賄で逮捕された。

 なぜ、韓国の大統領は辞めると次の政権から“標的”にされるのか。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は「権力の集中」にカギがあるという。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン