スターと言えば手が届かない存在だと思いきや、“会いに行けるスター”も大人気となっている。そんなスターの一人が、大衆演劇界きってのマダムキラー・大川良太郎(41才)だ。絢爛豪華な舞台と飾らない人柄で絶大な人気を誇る。大川は大阪を中心に活躍する「劇団九州男(くすお)」の座長だ。
◆日常の憂鬱を吹き飛ばす華やかさを演出したい
取材当日、500人収容できるホールは満席。観劇後、出てきた女性たちは全員、夢見心地な表情だ。客の見送りに出てきた大川から、
「ちょっとあんた、出待ちするならちゃんと並びなさい」
「勝手に触るんじゃないわよ、あんた図々しいわね」
といった、ファンへの“毒舌いじり”に、さらに頬を染めていた。
「私は舞台に出ると別人になるんです。普段は超高所恐怖症ですが、舞台では3m以上の高さから吊られても平気。終わった後は、怖くて振り返れないんですが(笑い)」(大川良太郎・以下同)
別人格になって演じる大川の世界に、観客はたちまち夢中になる。そんな今の舞台を作り上げるきっかけになった出来事があったという。
「30才の時に一度、商業演劇や映画に出させていただきました。外の世界から自分が生きてきた大衆演劇を見てわかったのは、われわれに求められているのは、日常の憂鬱を吹き飛ばす華やかさだということ。それまではストイックに自分の芸を求めていましたが、今は“お客さまファースト”の芸になりました」
冒頭の、“毒舌いじり”も大川の十八番だが、それもお客さまファーストがゆえ。
「私を毒舌だとおっしゃいますが、そうではありません。根底にあるのはお客さまへの愛です。愛があるから飾らずに発言できる。私の毒舌は愛のささやきなんですよ」
大川のセクシーな眼光と愛ある毒舌にトキメキのスイッチが入ること間違いなしだ。
ちなみに、素顔は柔和な笑顔のナイスガイだが、「最近、東京ディズニーランドに行ったのですが、遊ぶよりも演出方法に見入ってしまいました」と芸にはストイックだ。