「近頃の自動車は、自動ブレーキシステムや自動車庫入れ機能がついていたり、本当に便利になりました。僕は大歓迎で、これで運転寿命が延びたと前向きに考えています」
そういって自動車の進化を高く評価する作家・高橋三千綱氏(71)だが、「必要なさそうな機能までつけ、それを新機能だとウリにするのはいかがなものか」と、メーカー側の姿勢には大いに疑問を感じているという。
高橋氏が不要だとする機能のひとつが、ドライバーが運転中にカーナビに向かって話しかけると答えてくれる「会話機能」だ。
「『行き先の天気は?』とか『この先の渋滞は?』と聞くと、ちゃんと答えてくれるのは大したものだと思います。
『高齢者1人での運転中にも寂しくない』と勧められた人もいるそうですが、こうした機能がつけばつくほど値段が高くなるし、スマホと連動させないといけないらしいので、面倒で僕には必要ない」
高橋氏のように、安全性以外には多くの機能を求めていない高齢者も多い。
「メーカー同士が競い合って、無駄な機能をどんどんつけてアピールするから、買う側がますます迷ってしまう。むしろもっとシンプルにすることを徹底するべきですよ。そのほうが我々だって選びやすいし、買った後も操作が楽でいい。
もちろんシニアのほうも、『機能が複雑だ』『操作が大変だ』なんて文句を言っていないで、複雑な操作が必要な機能は最初から使わなければいいんです。パソコンや携帯電話だって、わからないものは操作しないで、ワープロや電話機能だけ使えばいい」
※週刊ポスト2019年10月11日号