有名写真家6人が自選した秋の風物詩の決定的瞬間をお届け。ひと足早い錦秋グラビアを6枚、紹介します。
南アルプス市にある櫛形山林道(くしかたやまりんどう)は、富士山と雲海を同時に撮影できる有名なスポット。撮影日も夜明け前から、大勢の人たちがシャッターチャンスを狙っていました。紅葉を撮ろうと思った私は、林道を少しはずれて人気がない場所へと向かいました。少し奥に入ると真っ赤に色づく紅葉が見え、向こうに雲海と富士山が現われたのです。撮影したのは朝日が昇る瞬間。紅葉にやわらかな光が射し込んでいます。
撮影■宮本孝廣/1963年、和歌山県生まれ。県立南部高等学校卒業と同時に、写真家・森田敏隆氏に師事。現在、森田氏が設立したエムオーフォトスに所属し、日本風景を撮影し続ける。
気温や湿度、天気などの条件を考慮して撮影場所を事前に考え、年間300日ほど只見線と奥会津だけを撮り続けています。撮影日には紅葉と只見線と、秋には珍しい山霧を1枚に収めることができました。通常、この地域で山霧が発生するのは6月から8月にかけてで、霧は陽にあたると消えてしまいます。この日も朝日が差し込むまでのわずかな間、10分ほどで消えてしまいました。
撮影■星賢孝/1948年、福島県生まれ。郷土写真家。地元建設会社に47年間勤め、只見線・奥会津の写真を撮り続けて25年。現在は金山町と三島町にまたがる只見川沿いの渓谷“霧幻峡”の渡しの船頭も務める「特別展 復興祈念 只見線写真展~星賢孝とその仲間たち~」が秋山庄太郎写真芸術館にて10月14日まで開催中。