スポーツ

高野連が「球数制限」導入へ、もし松坂大輔の時代なら…

PL戦で延長17回を投げぬいた横浜の松坂大輔投手(1998年。写真:時事通信フォト)

 高校野球に、ついに「球数制限」が導入されようとしている。この改革によって、春夏の甲子園はこれまでとは全く違ったものに生まれ変わることになりそうだ。10月16日に発売される新著『投げない怪物 佐々木朗希と高校野球の新時代』で、激変する高校野球の現場を追ったノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
“令和の怪物”こと佐々木朗希(岩手・大船渡)が10月2日、プロ志望届の提出を表明した。10月17日のドラフト会議では複数球団による競合が必至だろう。

「これまでたくさんの人に支えられて頑張れた。恩返しできるように頑張っていきたい」

 会見で佐々木はそう語った。この夏、大船渡の國保陽平監督は連投による佐々木の肩・ヒジの故障を防ぐため、岩手大会決勝で佐々木を起用しなかった。国民的な議論を巻き起こしたこの“登板回避”は、球児にとって最大の夢である甲子園よりも、球児の将来の可能性を優先するという、高校野球に新たな価値観が登場したことを象徴する出来事だった。

 そうした新たなうねりの中、日本高等学校野球連盟(以下、高野連)は9月20日に「投手の障害予防に関する有識者会議」を開き、来春の選抜から「1週間で500球以内」「3連投禁止(3日続けての登板の禁止)」といった投球制限を設ける方針を固めた(3年間は試行期間)。投手の「投球過多(投げ過ぎ)」を回避するルールを設け、故障を予防しようという試みである。

 地方大会でも採用されるため、昨年夏に快進撃を見せた金足農業(秋田)の吉田輝星のように、孤高のエースが地方大会からひとりで投げ抜くようなケースが今後はなくなり、複数の投手を育成し、継投や先発ローテーションのような策を講じなければ全国制覇どころか、甲子園にたどり着くことさえ困難な時代がやってくる。

◆延長17回裏で無念の途中降板!?

 振り返れば、甲子園の歴史は大会をひとりで投げ抜く怪物エースの歴史だった。初めて「怪物」の名が冠せられたのは、栃木・作新学院の江川卓(元・巨人)だ。高校時代の公式戦だけでもノーヒットノーランを9回記録し、完全試合も二度、達成した。1973年の選抜では、準決勝で敗れるも、4試合で60奪三振を記録。

関連記事

トピックス

フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン