「50代を迎えてからというもの、体のあちこちに不調が出て、ここ半年は病院ばかり行っていました」
埼玉県に住む52才の主婦、高木由香さん(仮名)はため息をつく。
「立っていられないほどの頭痛が続くようになって頭痛外来に行ったのを皮切りに、ひざ関節の痛みも出て整形外科で検査を受けました。さらに、階段を上ると普段以上に息切れがするので不整脈かもしれないと思って、循環器科も受診しました」
それなのに、体調は一向によくならない。最終的に高木さんを救ったのは、身近な人のアドバイスだったという。
「ママ友が『同じような症状が出たけど、更年期の薬をのんだら治ったわよ』と言うので婦人科を紹介してもらったら体の調子がよくなったんです。病院選びの大切さはよく聞くけれど、診てもらう診療科をちゃんと選ぶことも大切なんだと身に染みて感じました。だけど、通院にかけたお金と時間を考えると、もっと早くわかっていればよかったと落ち込みます」
高木さんに限らず、40~50代の女性は、特に体の不調を感じやすい年代だ。医療ジャーナリストの増田美加さんが解説する。
「閉経前後の“更年期世代”の女性は、心身にさまざまな不調を感じやすい。その原因は、体を守ってくれていた女性ホルモンの分泌が減少し、ほぼゼロにまで減ってしまうこと。悪玉コレステロールの値や血糖値、血圧が上がりやすくなったり、胃腸機能が低下しやすくなったりします。また、女性特有のがんにかかりやすい年齢にもなる。だからこそ、自分の体の不調を的確に診てくれる、専門の診療科にかかることが大事です」
受診する場所を間違えれば、お金や時間が無駄にかかってしまうだけでなく、いつまで経っても不調が治らないうえ、大きな病気の発見も遅れる可能性が出てくるということだ。こうした「誤通院」の悲劇を引き起こさないためには、間違いやすい症状を知ることが重要だ。「肩こりも」も、そのひとつだ。
◆【肩こり】別の不調に注目すべし