健康への関心が高まる昨今、巷では多くの病院や医師に関わる情報が流れている。テレビや雑誌では、「名医がいる病院」「いいクリニックの見分け方」などの特集も多い。しかし、どんなに名医であっても、治療内容が原因となる病気に合致していなければ、元も子もない。
例えば、うつや不眠など、一見メンタルの不調に起因すると思われる症状も、ほかの要因が関係している場合もある。医療ジャーナリストの鳥集徹(とりだまり・とおる)さんはこう指摘する。
「うつは糖尿病とも関係が深いといわれており、糖尿病患者の約1割は医療機関で治療を受ける必要があるうつ病にかかっているというデータもある。また、糖尿病や高血圧の患者は不眠を訴えることが多いといわれています。
しかし、精神科や心療内科では血液検査をすることなく、抗うつ薬や睡眠薬を出すことがほとんどです。こうした薬をのんでも症状がなかなか改善せず、調子がよくならない時は、別の病気も疑ってみた方がいい」
とはいえ、自分だけで適切な診療科を判断できない場合も多くある。そんな人のためにあるのが「総合診療科」という存在だ。
「総合診療科は、原因不明の症状の要因を見極め、必要なら適切な専門医につなげるのが仕事の1つです。どこにかかればいいかわからない時は、総合診療医のいる医療機関を受診してみるのも1つの方法でしょう」(鳥集さん)
また、比較的規模の大きい病院であれば「どの診療科を受診するべきか」という患者の相談を受け付ける窓口を用意しているところもある。積極的に利用したい。
さらに理想的なのが「かかりつけ医」を持つことだ。自分の過去の病歴や生活習慣を知っていて、信頼できる「かかりつけ医」をつくり、相談したり検診を受けたりすることが重要になってくる。
医療ジャーナリストの増田美加さんが説く。
「女性は、婦人科のかかりつけ医を持っておくことは大切だと思います。特に閉経前後には、婦人科領域の病気が起こりやすいからです。今からでも見つけておくと、将来の財産になります」
時に生死すら分ける可能性がある「誤通院」。避けるには、まずは病気を知ることから始めたい。