今年7月に発表された厚生労働省「簡易生命表」によると、2018年の日本人女性の平均寿命は87.32才。6年連続で過去最高を更新した。
世界保健機関(WHO)「世界保健統計」では、世界の女性の平均寿命は74.2才と発表され、日本人女性は世界一の長寿であるとわかった。
しかし、この結果によって、私たちが世界で最も健康だと証明されたとは言い難い。乳がんや大腸がんなどは、欧米諸国では死亡率が下がっている一方、日本では上昇。現在、先進国でがん患者が増加しているのは日本だけだといわれている。
もちろん、長生きするほどがん罹患率が上昇することも大きな要因ではあるが、医療関係者の間で問題視されているのが日本人の「検診率の低さ」だ。
検診へ行かない日本人は病気の早期発見の遅れが指摘されており、女性のがんで最も患者数の多い乳がん検診では、米国で約80%、先進国全体の平均が約61%と高い検診率であるのに対し、日本は約41%と大きく下回る。
国内最大級の人間ドック・健診予約サイト「マーソ」の調査によると、2015年9月に元プロレスラーの北斗晶(52才)が乳がんの摘出手術を行ったという報道があった際には、同年10月の検査予約が7月と比較して2倍以上に増加した。しかし、12月になると7月を下回るほど減少し、日本人の検診に対する意識が「一過性」であると明らかになった。
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんはこう指摘する。
「病気の症状がある時に受けるのが『検査』、症状はないが予防のために受けるのが『検診』です。勤め先などで求められなければ、体に異常もなく、痛い思いをして検診を受けようとする日本人は珍しい。
しかし検診率の高い外国人が、日本人と比べ痛みに強いわけではありません。研究によると、外国でも“検診は痛い”という考え方は一般的ですが、体格の差などもあり、検診が『痛い』という印象を持つ人が日本人には多い可能性もあります」
検診は定期的に、繰り返し受けなければ意味がない。現代医療では、痛みや負担を軽減するための技術改良は無視できない課題になっている。医療ジャーナリストの増田美加さんが語る。
「各社が工夫して、痛くない機器を開発しています。しかし、旧来の機器を使っている病院もある。痛みを避けたい人は、どんな機器が使われているのかを事前に確認しておくといいでしょう」
どこでもいいと選んだ病院で痛みに耐え、「もう二度と受けない」と決めつけるのはあまりに早計。「来年も受けたい」と前向きになれる最新の技術を紹介したい。