3歳牡馬クラシック最後の関門の舞台は京都芝3000メートル外回り。近年は波乱傾向も強まっている。競馬歴40年のライター・東田和美氏が考察した。
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先週は17年ぶりに春のクラシック馬が出ない秋華賞だったが、結果は桜花賞とオークス3着馬が勝ち、2、3着にはオークスと桜花賞の2着馬が入るという、ある意味「順当」な結果だった。これで三連単が7万円もつくのだから、あまりいろいろなことは考えない方がいいのかもしれない。
今週も春のクラシックを制した馬は不在だが、菊花賞ではさほど珍しいことではない。最近ではエピファネイアが勝った2013年、キタサンブラックが勝った2015年がそうだ。それでもエピファネイアは皐月賞、ダービーとも2着。キタサンブラックもダービーこそ大敗したが、皐月賞では3着で、2着のリアルスティールもクラシックは2着、4着だ。やはりクラシック戦線を戦ってきた馬は強い。
ところが今年は皐月賞2着、ダービー3着に来たヴェロックス1頭が目立つのみ。他のクラシック組で掲示板に載ったのはダービー5着のニシノデイジーだけなので、前売りで1.3倍というのも当然なのだろう。父ジャスタウェイが重賞未勝利で距離不安が囁かれており、その父ハーツクライも菊花賞には縁がなかったことが指摘されているが、母の父はモンズーン。スタミナの裏付けがあるので、軸馬として信頼されているのだろう。
もう一頭の実績馬、歴戦の雄・ニシノデイジーにはルメール騎手が自ら騎乗を希望。セイウンスカイ、ニシノフラワーという西山牧場のDNAが結集したこの馬も今回は人気の一角だ。
臨戦過程から言えば、古馬と走り勝つことで自信をつけてきた馬にも注目。過去のデータを見ると、1、2着馬は神戸新聞杯(11月に行われていたときは京都新聞杯)からの転戦が多いが、ここ10年の3着馬のうち5頭は1000万特別(2勝クラス)から駒を進めてきた馬だ。
その中ではヒシゲッコウ。北海道で長めの距離を連勝して4戦3勝。ノーザンファーム生産、堀厩舎、スミヨン騎手と役者が揃っている。
血統的にサンデーサイレンス系が目立つのは致し方ないが、他のレースに比べればどうだろう。菊花賞が10月に行われるようになってからの19回で12勝、2着14回と連対馬の父こそサンデー系が圧倒しているが、3着馬の父親となると、10頭はサンデー系以外、うち6頭は母系にもサンデーがはいっていないのだ。さらに3着馬でおもしろいのはサンデー系のうち3頭の父親がヤマニンセラフィム、ミスキャスト、トーセンダンスといった地味な種牡馬であること。
今年サンデー系以外の種牡馬はニシノデイジーなど8頭だが、サンデーサイレンスの血が入っていないのは外国産馬ユニコーンライオンだけ。
やや地味なサンデー系種牡馬としては2011年の菊花賞で3着に入っている京都巧者トーセンラーの産駒ザダルがいる。デビューから3連勝でプリンシパルSを勝ったが、今年は豪雨のため、5月4日に行われるはずが12日に延期になり、ダービーへのステップとしては無理があった。
生産牧場で言えば、例によって社台グループの牧場が過去19年で10勝、2着12回。3着は8回だが、ここ2年は二桁人気のノーザンファーム産馬が激走するなど相変わらずしぶとい。社台グループ生産馬のワンツースリーというのも4回ある。
今年もグループ生産馬が10頭いて、秋華賞同様「社台の運動会」と言ってもいい。