プロ野球の国鉄、巨人で前人未到の400勝を挙げ、本誌・週刊ポストの「誌上総監督」としてご活躍いただいた金田正一さんが、10月6日に逝去されました(享年86)。その死を悼み、カネやん担当30年の記者・鵜飼克郎氏が、感謝の言葉を綴る。
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「他人様から言われなくても、わかっとる。大きなお世話だよ。ワッハハハ」
今年の夏、プロ野球史上最高の選手を選ぶ企画で金田さんが堂々の1位になったことを伝えると、こんな答えが返ってきた。そして、少し遅れて照れ笑いを浮かべた。
不世出の400勝投手。だが私は金田さんの現役時代を知らない。漫画『巨人の星』で星飛雄馬に大リーグボールを編み出すよう進言した人、というイメージだった。ただそんな私にも、金田さんが400勝を自慢したことは一度もない。誇るのは決まって、298敗と365完投だった。
「巨人に打ちのめされ、マウンドに崩れ落ちるワシの姿を見るために、ファンは球場に足を運ぶんだ。(貧打の)国鉄は相手を0点に抑えないと勝てない。だからワシが投げるしかない。マウンドにグローブを叩きつけ、ベンチで椅子を蹴り上げるなど、悪役に徹しながら最後まで投げたよ」
と、任されたマウンドを最後まで守ることに誇りを持っていた。とにかく全てが豪快だった。スピードガンのない時代に何キロ出ていたか聞くと「180キロは出ていた」と答え、私が戸惑う様子を見るとこう続けた。