みずほ総合研究所の試算によると、東京五輪が開催される来年の訪日外国人観光客は、3600万人。史上最多人数が見込まれている。
それはつまり、「英語」に触れる機会が増えるということ。これをきっかけに、今度こそ本気で英会話を勉強しよう──そう意気込んではみるが、忙しい毎日の中で、ついトーンダウン。その繰り返しになってしまう。
現在はボランティアで観光ガイド活動を行うNPO法人TOKYO FREE GUIDEの代表理事長を務める川本佐奈恵さんも、英会話の勉強を始めた当初は悩みを抱えていた。
「専業主婦として3人の子育てに専念していた32才の時、社会との接点を持つためにもう一度、英語にチャレンジしたいと思いました。しかし、その当時、英会話教室に通うお金を捻出できず、英会話教室はあきらめました」
そこで、川本さんが出合ったのがNHKの『ラジオ英会話』だった。
◆『ラジオ英会話』から英文を拝借
「やったことは3つ。ラジオを聴いて、まねをして、ディクテーション(書き取る)する。テキストの1ページに書いてある会話文すべてをやるのは大変ですから、覚えたいセンテンス(一文)だけをよく聞いて100回口にします」(川本さん・以下同)
『ラジオ英会話』をはじめとするNHKラジオの英語番組は、4月から複数の番組が同時にスタートし、1年間放送される。それぞれの番組の進行に沿ったテキストも販売されており、どのテキストも書店で購入可能だ。川本さんは、「番組もテキストも、一本に絞ることがポイント」と話す。
「本気で集中しようと思ったら、1つの番組を聴いて、1冊のテキストをこなすのが精いっぱいです。複数を同時進行すると、ただ聴き流すだけになってしまいます。
1回の放送を繰り返し聴く方がいいので、ICレコーダーを買うといい。ラジオを録音して何度も聴き、何度もまねすることが重要です」
スマホで『NHKゴガク語学講座アプリ』を利用すれば、前の週の放送を聴くことも可能だ。番組によって、難易度のレベルが違うので、自分が最も「楽しい」と思える番組を選ぶのがいい。
川本さんはラジオでの学習と並行して、公民館で開かれる英語交流サークルにも参加した。
「すでに英会話ができる人ばかりで、最初はまったくついていけなかった。しかし、黙っていても仕方ないと思い、1分間のスピーチ用の英文を作っていくことにしました。とはいえ、自分で英文を作る力はない。そこでラジオを聴いて『これは使えるかも』というフレーズをどんどん借りてきてはつなぎ合わせる“英借文”を作るようになりました」
当初、1分間の“英借文”を作るために1週間を費やしていた。結果的に、川本さんの会話力をぐっと引き上げたのは、ラジオでの“インプット”と英借文での“アウトプット”だった。
※女性セブン2019年11月7・14日号