「定年後の働き先」の第1選択肢となるのが継続雇用だが、給与は大幅減額となることがほとんど。仕事内容も責任を感じられなくなり、肩身の狭い思いをすることも少なくない。
そこで、「アルバイト生活に転じる」という選択肢もある。定年後世代の働き方のサポートをするライフシフト・ジャパンの大野誠一代表がいう。
「やりがいのない仕事を長く続けるというのは体力的にも精神的にも厳しい。それなら自分のやりたかった仕事や社会に貢献できる仕事をアルバイトで実現するのも手です」
例えば、歴史好きにはたまらない仕事が「遺跡発掘調査員補助」だ。応募要件が「70歳まで」と年齢のみの場合も多く、人気は高い。
「太古の時代に思いを馳せながら仕事ができますし、発掘地域は山間部にも多く、歩くことで足腰も鍛えられます」と語るのは埋蔵文化財発掘調査業務を行なう安西工業の総務部だ。
「専門の調査員の指導のもとで土を掘る作業が主になります。弊社の場合は大阪や兵庫、奈良の発掘現場が主で、縄文時代や弥生時代の土器、奈良時代や平安時代の遺跡の発掘をしています。
日中屋外での8時30分から陽が落ちる17時頃までの作業ですが、休憩を多く取るので実労働時間は短い。勤務は週3回以上で、時給は1000円以上、日給で7000円以上です」
民間の発掘受託会社や埋蔵文化財センターが募集するネット求人に応募するのが主流だが、大学の研究室や市区町村で募集されるケースもある。
歴史を掘り起こす仕事が、社会に資するものなのは言うまでもないだろう。
※週刊ポスト2019年11月1日号