平成の30年を通じ、国民から敬愛された上皇上皇后両陛下の存在感は、退位されたとはいえ薄れるものではない。両陛下に仕えてきた宮内庁職員の間では、なおさらだろう。
「平成の頃、両陛下にお仕えした侍従職は、ほとんどのメンバーがそのまま上皇職に繰り上がりました。現在でも60人以上の体制です。もちろん宮内庁の中枢幹部らも両陛下がいかに立派に務められてきたかをよく知っている。それだけに、“今でも皇室の中心は上皇上皇后両陛下”という発想を持つ人が少なくない」(宮内庁関係者)
たとえば、来年発売される「皇室カレンダー」にも、そうした宮内庁内の雰囲気が表れている。カレンダーは、宮内庁の許可を得て公益財団法人「菊葉文化協会」が制作・発行するものだ。皇族方の大判写真が2か月ごとに掲載され、例年1月2月のページは天皇ご一家の集合写真で、来年のものもそうなっている。
「平成時代、3月4月のページのほとんどは、天皇皇后時代の上皇上皇后両陛下の写真でした。そのため、来年のカレンダーでは、3月4月は現在の天皇皇后両陛下の写真が順当と考えられていました。
しかし、実際のカレンダーでは3月4月に上皇上皇后両陛下の写真が掲載され、天皇皇后両陛下は5月6月での掲載でした。新元号となって初めて発売されるカレンダーにもかかわらず、上皇上皇后両陛下の掲載順が先というのは、妥当だったのかどうか」(皇室ジャーナリスト)
上皇上皇后両陛下は御代がわりを経た後、新天皇皇后両陛下が“主役”になられることを重視され、目立ったご発言や行動を控えられてきた。しかし、周囲には、まだまだ上皇上皇后両陛下に思いを寄せる職員も多いのだ。
「現在の天皇皇后両陛下を支える侍従職は、もともと皇太子同妃時代から東宮職としてお近くにいたメンバーです。彼らは両陛下と非常にいい関係を築いていて、雅子さまの復調も侍従職の活躍が大きいとされます。その一方で、上皇上皇后両陛下を支える上皇職や宮内庁幹部の中には、上皇上皇后両陛下の意向を優先しようとする職員も少なくない。
天皇家の方々にそうした意識はないですが、職員の現場レベルでは“二重の体制”ができてしまっている部分は否めません」(前出・宮内庁関係者)
即位礼正殿の儀の翌23日、天皇皇后両陛下は赤坂御所に外国王族を招いて茶会を催された。その茶会に上皇上皇后両陛下も出席されたことも、波紋を呼んでいるという。