フィリピンの入国管理当局は9月から10月にかけて、不法就労やオンライン賭博、入国管理法違反などの容疑で、1000人以上の中国人が警察当局によって逮捕されたことを明らかにした。フィリピン政府の統計によると、同国には約20万人の中国人が就労しており、主にゲーム業界で働いているという。だが、彼らの大半は中国マフィアの一員とみられ、フィリピンで非合法組織を形成してオンライン賭博などの犯罪に関与している可能性がある。
フィリピンの首都・マニラでは10月9日、入管の指示を受けて、マニラ警察とフィリピン軍が合同でオンライン賭博の拠点など数カ所を家宅捜索し、合計で542人の外国人を逮捕した。このうち、ほぼ8割の442人が中国人で、このほかミャンマー人45人、マレーシア人25人、ベトナム人23人、台湾人4人、インドネシア人が3人だった。中国人以外の外国人は中国系の非合法組織に雇われていたという。
マニラでは9月初旬にも入管当局が277人の中国人を逮捕したほか、その1週間後にはフィリピン南西部のリゾート地であるパラワン州(島)で324人の中国人を逮捕。逮捕容疑はいずれも「違法なオンラインギャンブルやサイバー犯罪およびその他の違法行為に関わった」ことだという。
入管の発表によると、逮捕された中国人らは観光ビザで合法的に入国していたが、滞在延長の許可を得ておらず、オーバーステイ状態になっていた。
マニラでは2016年11月にも、中国人1318人が不法就労容疑で逮捕されている。これは当時では最大規模の不法滞在外国人の摘発だったが、今回も1000人以上の中国人が逮捕されており、「これほど大人数である以上、組織的な犯罪といえる」と入管は見ており、背後に大がかりな中国マフィアの非合法組織が存在していることを示唆した。
中国外務省は、フィリピンで多数の中国人が逮捕されたことについて、法的な手続きを踏まえて逮捕者の早急な解放を要求したうえで「両国の関係の大きな圧力とならず、緊張が高まらないことを信じる」とのコメントを発表している。