もともと、現役時代の海外出張で鍛えたビジネス英語を活かした仕事がしたいという思いがあった。
「定年後に『全国通訳案内士』という資格を取得しました。その後、インターネットで、マジカルトリップを見つけ、試験を受けてガイドとして登録されました」(下牧さん)
同社では、全国で約40種類の観光ガイド付きツアーがあり、報酬や勤務時間の希望に応じて働ける。
「新宿飲み歩きツアーなら、ガイド料は1回3時間5000円で、別途、交通費と飲食費の一部が出ます。月に10回くらいで収入は月5万円ほど。決して高くないですが、やはり楽しい。定年後に出かける場所があるのはいいこと。家にいないので女房も喜んでいます(笑い)」(下牧さん)
有償で通訳ガイドをするには、「全国通訳案内士」の資格が必要だったが、2018年1月に規制緩和され不要になった。運営元のライブラ社の広報はこういう。
「ガイドの登録に必要な選考としては、書類審査や面接、テストに加え、ツアー帯同の実地研修があります。資格が不要な分、応募者が多いので、合格率は20%ほど。60代の方は下牧さんが初めてでしたが、知識も豊富で話術に長け、今やツアーの看板ガイドです」
日本の文化や歴史の知識も求められるため、若い世代よりも定年後世代が重用されることが増えそうだ。
※週刊ポスト2019年11月1日号