「定年後の働き先」の第1選択肢となるのが継続雇用だ。内閣府の「高齢社会白書」によると、定年退職者の約8割が選択している。ただし、給与は大幅減額となることがほとんど。仕事内容も責任を感じられなくなり、肩身の狭い思いをすることも少なくない。
定年後世代の働き方のサポートをするライフシフト・ジャパンの大野誠一代表は、「アルバイト生活に転じる」という選択肢に注目してほしいとする。
「やりがいのない仕事を長く続けるというのは体力的にも精神的にも厳しい。それなら自分のやりたかった仕事や社会に貢献できる仕事をアルバイトで実現するのも手です。収入が減ることを気にする方もいますが、“老後資金2000万円不足問題”は、30年間の総額なので、年金プラス月5万円あればいい。この額ならアルバイトで十分賄えます」
本誌・週刊ポスト読者アンケートで「これからやってみたいアルバイト」を調査すると、コンビニ店員や警備員といった定番だけでなく、社会に役立てる、人々から感謝される仕事をしたいという声が多数寄せられた。
東京五輪を控え、需要が高まっているのが外国人向けの観光ガイドだ。
「新宿での飲み歩きツアーや築地食べ歩きツアーなどの案内をしています。いろんな国の人と話ができて楽しい仕事で、『またお願いします』と言われるのが、何ものにも代えがたい喜びですね」
そう話すのは下牧眞さん(67)。ベビー用品会社を65歳で退職したあと、訪日観光客向けツアーを提供する「マジカルトリップ」でアルバイトを始めた。この日も外国人観光客を連れて新宿の「思い出横丁」などで3軒の居酒屋をハシゴして、日本の文化や歴史について語り合ってきたという。