ソーシャルメディア・ハラスメント、略してソーハラとは文字通りSNS上で起きているハラスメントのことだ。具体的にはどのようなものであり、どう対処すればいいのだろうか。SNSの最新事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、ソーハラのリスクと対処法、未然に防ぐ方法について解説する。
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「上司からFacebookで友達になることを強要された」「会社の先輩から投稿への『いいね』を強要された」などの経験はないだろうか。これが「ソーハラ」だ。ソーハラとはソーシャルメディア・ハラスメントの略であり、ソーシャルメディアを通じて主に職場などで上下関係を背景に行われる嫌がらせ行為を指す。
「上司とつながったので、何も投稿できなくなってしまった」とある20代OLはため息をつく。実名で顔写真を登録するFacebookでは「やっていない」と言い逃れができず、上司からの友だち申請を渋々受け入れたという。
ある時には、同じ上司から「君、ゴルフに興味ないんだね」と言われてしまった。自分が上司のゴルフ投稿にリアクションをしていないことに嫌味を言われたと気づき、さらに気が重くなってしまったという。「これでは『いいね』が義務になってしまう。疲れたのでアカウントを消そうかと悩んでいる」。
Facebookは幅広い年代に利用されているため逃げ場がないと、他のSNSに日常的な投稿先を変えても、似たような悩みがついてくる。若い女性が中心的ユーザーだと言われたInstagramでさえも、安心できる場所ではなくなってしまった。
ある30代OLは、最近Instagramからの通知を見ると、先輩からの「いいね」やコメントでいっぱいになっていることが多いという。「投稿する度にすぐに『いいね』やコメントがついて、ストーカーされているように感じる」。
さらに、「先日彼氏とワインバーに行っていたね。ワイン好きなの?」とInstagramにしか投稿していないことを職場で言われ、「セクハラではないか」と不快に感じたという。
このようなものはすべて、ソーハラだ。ソーハラが行われるソーシャルメディアの種類は、FacebookやTwitter、Instagram、LINEなど多岐にわたる。
ある女子大生は、シフトの調整のためにバイト先の店長とLINEを交換したところ、バイトの時間外でも店長からしつこくメッセージが届くようになってしまった。最近では、LINEを開くのも気が重くなってしまったそうだ。
「『今何してるの?』とか『バイトの後一緒にご飯に行こうよ』とか、バイトと関係がない連絡がたくさんくる。しかも既読がついてしまうので、返事をしないでいると『彼氏とデートで忙しいのかな』とか嫌味を言われる。時給はいいけれど、もうやめたい」。
具体的には、以下のようなことが該当するだろう。
●友達関係や「いいね」の強要
●投稿に頻繁に「いいね」やコメントをする
●必要がないメッセージを頻繁に送る
●部下の投稿内容をリアルの場で持ち出す
●業務に関するメッセージをSNSで送りつける
しかし、同じことをしても問題にならないこともある。すべて、相手が不快に思うか否かでソーハラになるかどうか変わってくるのだ。基本的に、仕事とプライベートを混同する公私混同があるとNGとなる可能性が高くなるので、注意してほしい。