今年のプロ野球ドラフトでは、高校野球を沸かせた2人のライバル、佐々木朗希(大船渡)と奥川恭伸(星稜)に注目が集まった。スポーツ界の歴史はこのように、ライバルとして並び称された「ふたり」が何組もいた。
元祖・甲子園の怪物と呼ばれた江川卓(作新学院)。1973年の夏の甲子園で江川に投げ勝った2年生エースが銚子商の土屋正勝だ。
翌1974年のドラフトで中日に入団。12年間で8勝22敗4セーブと期待された結果は残せなかった。
現在は千葉県旭市で保険代理店を経営している。
「私の場合、地力がなかったということです。江川さんをライバルだなんて考えたこともない。高校時代から肘や肩を故障していて、プロ入り後もケガとの戦いでした。つらい日々で、朝起きて雨が降っているとホッとしたほど。本人の気持ちが逃げたら野球選手としては潮時です。
今思えば、私の夢は甲子園に出ることで、プロ野球選手の道は江川さんに勝ったことでついてきたオマケのようなもの。だから悔いはありません」
※週刊ポスト2019年11月8・15日号