今年のプロ野球は日本シリーズでパ・リーグ2位のソフトバンクがセ・リーグ1位の巨人を倒して、日本一に輝いた。それから1週間も経たないうちにFA(フリーエージェント)戦線へと話題が移っている。毎年のように、FAで名乗りを上げる巨人は、ロッテ・鈴木大地、楽天・美馬学の獲得に乗り出す意向を示している。野球担当記者が話す。
「阿部慎之助の引退などもあって層の薄くなった巨人は、内野ならどこでも守れる鈴木大地は是が非でも欲しい選手でしょう。外国人選手は計算が立ちにくいし、日本シリーズで若手の経験不足も露呈した。彼らが本当にレギュラーを張れる選手なら、鈴木大地との競争に勝てるはずです。かつては、落合博満や広澤克実、清原和博と他球団の4番が移籍してきて、居場所を失った若手選手もいましたが、その時とはワケが違うと思います」(以下同)
鈴木は2年目の2013年から今年まで7年連続140試合以上に出場し、うち5回は全試合出場を果たしている。
「『うまい選手はいらない、強い選手がほしい』と公言する原辰徳監督にとって、理想の選手の一人でしょう。今年、切り込み隊長として期待した吉川尚輝は開幕早々、ケガで離脱。セカンドは吉川尚のほかに若林晃弘、山本泰寛、田中俊太、増田大輝、吉川大幾と6選手がスタメンに名を連ねましたが、決め手に欠けた。ショートの坂本勇人も腰に爆弾を抱えていますから、内野をどこでも守れる鈴木大地は巨人にとって貴重な戦力になります」
楽天の美馬学は2013年、巨人との日本シリーズでMVPを獲得している。今期の推定年俸は6500万円で、人的補償が必要なBランクとみられているが……。
「今年1年間ローテーションを守り、過去4年で30勝を挙げている実績は魅力でしょう。日本シリーズでルーキーの高橋優貴や戸郷翔征が投げたように、巨人の投手陣の層は決して厚くない。補強に走る気持ちはわかります。
とはいえ、かつてFAで西武から獲得した野上亮磨が思うような活躍ができていない現状もある。美馬にしても楽天時代のように活躍できるかどうかは未知数です。プロテクトできない選手の伸びしろを考えた上で獲得するかどうか熟考すべきでしょう」