東京五輪のマラソンの開催地を東京から札幌に変更することをIOCが「決定」し、物議を醸している。一方で、「それならば猛暑の東京で、一発勝負で代表を決めたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)もやり直すべきではないか」との意見まで出ている。現役時代は瀬古利彦氏(日本陸連強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)のライバルとして名を馳せ、1988年ソウル五輪、1992年バルセロナ五輪の2大会連続でマラソン4位入賞を果たした中山竹通氏が、MGCの選考に疑義を呈した。
「ただモメないようにとりあえず2人を決めたというだけではないでしょうか。気温30度のなかでのマラソン大会であれば、1キロ2分50秒から3分超のペースになる。すると記録は2時間11~15分になる。(陸連も)最初から順番を決めるだけで、好タイムなど期待していなかったはずです。
一発勝負による選考が正しいか間違っているかはさておき、もっとしっかりした方針が必要だと思います。今の日本のマラソンは世界から4分も5分も遅い。ただ東京五輪のためだけに暑さに強い選手を選ぶのではなく、冬のマラソンで世界に通用する2時間3~4分で走る選手をどう作っていくのか考えるべきでしょう。世界が2時間を切ろうとする時代に、これでは世界にどんどん引き離されてしまう。未来につながるレースをするべきだと思います」
今回、MGCで1位となった中村匠吾の持つ自己ベストは2時間8分16秒、2位の服部勇馬の自己ベストは2時間7分27秒。中山氏は、こうした状況ではメダルを狙うのは厳しいと語る。
東京より涼しく、平坦な札幌での開催となれば、「アフリカ勢の強さがさらに際立つ」との見方もある。あと1年、世界との差はどこまで縮むだろうか。