東京モーターショー2019に出品されたスズキの「ハスラーコンセプト」は、コンセプトの文字が消え、このデザインのまま発表・発売されることが確実視されている。ハスラーといえばお洒落で可愛いイメージが強く、街中では女性がハンドルを握る姿も多く見かけるが、新型は一転、角張ったデザインとなっている。そこにはスズキのどんな狙いが込められているのか。経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
* * *
現行「ハスラー」(軽クロスオーバーSUV)が発表されたのは2013年12月25日。「ハスラー」の兄貴分ともいうべき、小型SUVの「クロスビー」も2017年12月25日に発表だったことを考えると、今年もクリスマスの頃に発表し、年明けの初売り商戦時期に発売となる線が濃厚だ。
現行ハスラーは、お洒落で可愛らしく、ルーフとボディの塗装色を分けたツートーンカラーのタイプを導入したことも相まって、“遊べる軽”のキャッチフレーズとともにかなりの人気車となった。
ヒット作の後のフルモデルチェンジは難しいものだが、同社のチーフエンジニア、竹中秀昭氏もこう語っている。
「デザインの形を決めるまでの段階で、かなり生みの苦しみがありました。現行のハスラーがあって、クロスビーという兄貴分も送り出した中、次期ハスラーはどこへ向かうべきか、最後の最後まで議論になって決まらなかったのです。
スポーティなほうに振るのか、よりSUVっぽくするのか、ほぼ現行そのままなのか。モデルチェンジにお金や人をかけている割に変わっていないと言われるクルマは作りたくない。といって、あまり変えすぎると今度はお客様が離れてしまいますから」
最終的な答えが、ハスラーコンセプトを見た瞬間に誰もが感じるであろう、タフさや力強さを増すことだった。現行型より角張った分、車両全体が大きく見えるデザインだ。それでいて、一目でハスラーとわかるキープコンセプトさも色濃く残している。現行ハスラーの丸みを帯びたフォルムが醸し出す優しさ感は少し薄くなったものの、その分、クルマとしての道具感が強まった印象だ。再び竹中氏が語る。
「フロントもボリューム感を出し、現行型よりAピラーを立たせたのでルーフも長くなっています。重量はまだ言えませんが、角張らせて形を大きくしたので、鉄板の使用量は少し増えました。ただ、新しいプラットフォームを使って現行型より軽量にしている部分もありますので、差し引き同じぐらいだと思っていただければ」