「全身のがんをくまなく調べられる」として、がんドックなどで導入されている「PET/CT検査」。がん細胞にのみ吸着する薬剤を注射し、その動きを特殊なカメラでとらえて画像化する。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師が解説する。
「そもそもPET/CT検査は、健康な人向けではなく、がん患者で治療効果があったかどうかや、再発を早期に同定するための検査です。日本人に多い大腸がんや胃がんなどはとくにPET/CT検査では見つかりにくい。がんではないのに異常値が出ることも多く、放射性物質を体内に入れるため被ばくの問題があるなど、デメリットもある検査です」
全身のがんを調べるものには、他にも「腫瘍マーカー検査」がある。採血し、がん細胞から分泌される微量なたんぱく質を検知、画像診断と組み合わせることで、肺や大腸、膵臓、胃、肝臓などにできたがんを発見するというものだ。
「腫瘍マーカーも、がんがすでに見つかっている患者向けの検査です。PSA以外の腫瘍マーカー検査は、よほど進行しないと見つからないので、早期発見にはつながらないといっていい。
全身のがんを調べようとする検査は、どうしても“広く、浅く”になってしまう。肺がんリスクの高い喫煙者は低線量CTを、大腸がん家系の人は大腸内視鏡検査を受けるなど、個人に合った検査を受ける必要があります」(谷本医師)
※週刊ポスト2019年11月8・15日号