文部科学相の「身の丈」発言炎上をきっかけに、英語の民間試験導入が延期となった大学入試共通テスト。さらに、予定されている国語と数学の記述式問題についても見送りを求める声が出るなど、大学入試改革は出足から崩壊寸前。「そもそもセンター試験のままで良かったのでは?」と疑問を呈するのは、大学受験に詳しい大学通信・常務取締役の安田賢治氏だ。
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まさに急転直下の延期だ。2020年度から行われる大学入試改革で、目玉だった外部英語試験利用が延期になった。これまでも大学や全国高等学校長協会から、制度の見直しや延期を望む声は多かった。それを無視して実施に突き進んできたが、萩生田光一文部科学相がテレビ番組で「自分の身の丈にあわせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」と発言したことが大きな批判を浴び、それがきっかけであっさり延期となった。
今回の大学入試改革は、31年間にわたり実施されてきた大学入試センター試験(以下センター試験)を廃止し、2021年から新しく大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を実施するのがメーンになっている。
文科省は学力の3要素に「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に多様な人々と協働して学ぶ」を据え、それに基づく試験に変わる。入試の名称も変わり、一般入試は「一般選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」になる。いずれの試験も学力と高校時代の活動歴を評価する多面的評価に変えていく。
この考えの下、数学と国語に記述式問題を導入。高校時代の活動を記録する「ジャパン・イーポートフォリオ」のサイトをオープンし、ここに高校生自ら高校時代の活動歴を記録する。高校生が出願した大学が、このサイトの情報を見て評価する方式だ。
なかでも英語は4技能「読む、聞く、書く、話す」重視となる。センター試験では「読む」試験が従来から行われており、「聞く」試験については2006年から実施されるようになった。ところが、「書く」「話す」については、当初から外部英語試験の成績を活用することになった。センター試験、共通テストを実施する大学入試センターは作問しないことになったのだ。
7つの外部英語試験を共通テストに使うことが認められ、1試験はその後、参加を辞退した。高校3年生の4月から12月までの間に、2回受けた成績が共通テストの成績になる。外部英語試験を何度受けてもよいが、事前に今回の受検は共通テストの成績にすると表明し、2回の内の高得点の成績を共通テストの成績とすることとなった。