健康効果が証明されている栄養素であっても、食べ方次第で無駄になる場合がある。
例えば青魚などに多く含まれる「DHA・EPA」。多価不飽和脂肪酸のうちオメガ3脂肪酸と呼ばれる栄養素の一種で、血液をサラサラにして血栓を予防する作用や、老化や発がんを抑える抗酸化作用がある。
しかし、新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師は「サプリメントでの摂取は推奨できない」と言う。
「DHAやEPAが体に良いことは間違いありませんが、サプリメントでは健康効果が得られないという論文があります。2009年に米国の研究者が医学論文10件を比較・分析した分析結果は、そのうち9件の調査で、DHAやEPAサプリを摂取した人としていない人で『健康状態に差がなかった』と結論づけた」
それどころか、EPAの過剰摂取は死亡率を上げる可能性があるという。
「2007年に医学誌『ランセット』で発表された国内の共同研究によると、EPA成分を大量に含む医薬品を服用した人の死亡率は3.1%で、飲まなかった人の2.8%に比べて少し高くなっていました。血液がサラサラになりすぎてしまい、脳出血などを起こしたのだと考えられます。
体に良い栄養素でも、高濃度で摂取しすぎると、マイナスの影響を及ぼすことがあるのです」(岡田医師)
※週刊ポスト2019年11月8・15日号