加齢とともに多くの人が悩まされる関節痛の改善策として、グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリメントなどの健康食品が話題になっている。
しかし、新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師は「それらのサプリメントが膝や股関節などの関節痛に効くというエビデンスは示されていない」という。
2010年にスイス・ベルン大学社会・予防医療研究所の研究者らが英国の権威ある医学誌『BMJ』に発表した論文では、グルコサミンやコンドロイチンが「関節・股関節の痛みに効くという明確な結果はない」との結果だった。
「グルコサミン・コンドロイチンは、糖質やたんぱく質の表面に結合した物質で、『糖鎖』と呼ばれます。これは体内で、血管の内側や関節の動きをなめらかにする“潤滑油”の役割を果たしています。この『糖鎖』は加齢とともに減少し、関節そのものの軟骨もすり減るため、変形性関節症などを引き起こす原因となってしまいます。
グルコサミンなどのサプリで誤解されているのは、すり減った『軟骨の再生』に効果があると思われていることです。しかし、一度すり減った軟骨が再生することは決してありません。そのため、サプリメントで成分だけを摂取しても、関節痛そのものが改善することは考えられない」(岡田医師)