2003年に18年ぶりのセ・リーグ優勝を決めたのは、星野仙一監督率いる阪神タイガースだった。39年ぶりの本拠地・甲子園での優勝決定で、5万3000人のファンが歓喜に沸いた。優勝を報じるデイリースポーツ一面のロゴのしっぽも光る特別仕様だ。負けてもどこか諦める癖がつきかけた阪神ファンに、勝つ楽しさを思い出させてくれたシーズンだった。
就任1年目を4位で終えた星野氏は、大胆な“血の入れ替え”を断行した。20人以上を解雇し、フリーエージェントで金本知憲、伊良部秀輝を獲得。さらにトレードで下柳剛と中村豊、外国人選手ではウィリアムスとアリアスを補強し、「勝ちたいんや!」を合言葉に序盤から突っ走った。
4月18日に首位に立つと、7月にはマジックが点灯。終わってみれば87勝51敗2分、2位に14.5ゲーム差をつけての圧勝だった。当時、球団社長だった野崎勝義氏が語る。
「星野さんはフロントも含めたチームの意識改革に成功したのが大きい。当時は最下位が4年間も続き、誰もが恥ずかしくて『優勝』なんて口にできませんでした。そんな中、就任1年目のキャンプで星野さんが優勝を宣言したのです。お陰で1年目のオフには皆が意識するようになった。ファンの声援も力にして、圧倒的な強さでゴールインしたシーズンでした」
※週刊ポスト2019年11月8・15日号