日本人の2人1人が何らかのアレルギーを持っていると言われる現代。アレルギーとは、免疫システムが過剰に反応した結果、引き起こされるものだが、その原因となるアレルゲンも人それぞれだ。子供と大人でも変わってくる。
例えば食べ物でも、乳幼児から幼少期にかけては、鶏卵、乳製品、小麦が「3大アレルゲン」と呼ばれ、全体の7割以上の原因となっているのに対し、大人は小麦、魚類、甲殻類が多いといわれる。
2011年の「即時型食物アレルギー全国モニタリング調査」(消費者庁)でも、成人の新規発症の原因となる食物の1位には「小麦」が挙げられている。
一方で、国立病院機構相模原病院アレルギー科が2009~2011年に実施した患者の原因食物では、「果物、野菜」が全体のほぼ半数を占めた。これは年々、増加傾向にある「花粉症」が一因となっているとも考えられる。特定の花粉症患者に起こる「口腔アレルギー症候群」は別名「花粉・食物アレルギー」といわれ、果物や野菜を生で食べた時に口やのどがかゆくなったり、唇が腫れたりする。国立病院機構相模原病院副臨床研究センター長でアレルギー性疾患研究部長の海老澤元宏さんはこう話す。
「IgE抗体(免疫システムのひとつ)がアレルゲンを判別する時に、7割程度が一致していれば反応を起こします。花粉に含まれるたんぱく質と果物や野菜に含まれるたんぱく質は似ているため、体が勘違いして反応してしまうのです。これは『交差反応』と呼ばれていて、花粉症の人にはよく見られます」
例えば、ハンノキやシラカバ花粉症の人は、りんごやいちご、ブタクサやイネ科の雑草の花粉症の人はすいかやメロンを食べた時に反応することがある。「自分はスギ花粉症」だと思っている人で、りんごやいちごを食べるとアレルギー反応がある人は、ハンノキ花粉症かもしれない。
「欧州では、シラカバ花粉症の人のうち50~70%がりんごなどの果物アレルギーといわれていて、日本でも20~30%が該当します。口腔アレルギーは生食した場合に起こります。果物や野菜のたんぱく質は加熱すると変性するため、熱を加えて調理すると問題なく食べられる人が多いです」(海老澤さん)
果物や野菜と交差反応を起こすアレルゲンはほかにもあり、「ラテックス」という天然ゴムのアレルギーの人は、バナナや栗、キウイやアボカドで症状が出ることがある。
※女性セブン2019年11月21日号