「身の丈に合わせて頑張って」──。萩生田光一文科相の失言は受験生やその親を憤慨させ、準備不足も露呈したことで「英語民間試験」は延期に追い込まれた。背後にある教育を“食い物”にする構図とは──。ノンフィクション作家の広野真嗣氏がレポートする。
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土壇場で導入延期が決まった大学入学共通テストの英語民間試験をめぐって、萩生田文科相は11月5日の会見でこう述べた。
「今日に至るまでどういう積み上げでこういう制度設計になったのか、判断に誤りがなかったのか、きちんと検証していきたい」
制度設計にあたった会議が非公開で議事録も開示されていない、という批判に答えたものだ。
英語民間試験は従来のセンター入試に代えて、英検など民間6団体が実施する7種類の試験を活用する仕組みだ。官邸に置かれた教育再生実行会議を司令塔に2014年12月、文科省の諮問機関・中央教育審議会(中教審)の答申で導入の方向性が示されると、3年後には2020年4月導入が決まった。
導入目前に騒動となったのが、萩生田氏が民放BS番組で放った「(受験生は)身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」という発言だ。経済状況や居住地域によって受験料や交通費が重い負担となり、格差拡大を助長するのではないか、という懸念を大臣自ら、端的に容認してしまったのである。
ただ、本当に検証されるべきは、この問題とは別の所にある。