11月6日の閣僚会議で、安倍首相は首里城再建について、「必要な財源を含め、政府として責任を持って全力で取り組んでまいります」と発言。2019年度の補正予算に必要経費を盛り込む方針を示し、“国主導”を改めてアピールした。
今年完了した首里城の復元事業の総事業費は240億円。首里城には火災保険がかけられており、その限度額は70億円といわれている。
「がれきの撤去や周辺整備も必要で、修復に関わる人件費や資材費も高騰している。再建には200億円以上はかかると見られている」(地元紙記者)
この安倍首相の発言を複雑な気持ちで聞いているのが、先の台風19号で被災した人々だ。
政府はこの台風被害からの復興のため、2019年度予算から7億1000万円を支出する方針を決定したが、甚大な被害を被った千葉県を中心に、被災地ではいまだ家屋の修復や泥水の除去に追われ、3000人超が避難所生活を余儀なくされている。
「浸水した1階の汚泥はまだ除去しきれていないし、屋根瓦が吹き飛ばされ、雨のたびに雨漏りがすごい。周りもそんな家ばかりです。一体いつになったら元通りの生活が送れるのか、先が見えない。
そんななかで、真っ先に沖縄に何百億円もの費用を首里城に充てるという宣言は、どうなんでしょうか。もちろん文化財の再建は重要ですが、もっと優先的に国の予算をあてるべき場所があると思うんです」(千葉県茂原市の被災住民)